一日一文 365日

一日一文 123. 浪床敬子「アルテリ七号」より

ー 倖せはここに ー

「一番好きな歌を忘れとりました。『倖せはここに』という歌です。あれはとてもよか歌ですよ」

秋の夜は更けて
すだく虫の音に
疲れた心いやす
吾家の窓辺
静かにほのぼのと
倖せはここに

星のまばたきは
心の安らぎ
明日の夢をはこぶ
やさし君が笑み
静かな吾が窓辺
倖せはここに

静かに静かに
街の灯もきえた
遠い空見てごらん
明日の夢がある
小さな小さな
倖せはここに

懐かしそうに口ずさむ陽光さんの目から、止めどなく涙があふれる。

庭先まで見送ってくれた陽光さんをやわらかな秋の光が包み込んでいた。
軒下には陽光さんが最近植えたという色とりどりのパンジーが転々と咲いていた。

別れを告げよう思った時、陽光さんがふいに空を見上げて言った。
「こんな私でも良いこともあるんです。ここはね、星がとてもきれいなんですよ」

p83~

*「倖せはここに」作詞 大橋節夫

 

 


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