ー 草衣心似月 -
草衣をまとっている人は、何も失うものがない。だから、時間の流れの中で自分の心を自然に変化に任せることができるし、変化に任せていても、その真の姿はまんまるに澄んでいて、決して欠けることがない。
p179
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ー 水急不流月 -
時間は留めがたく、どんどん過ぎていく。私たちは時間の中で、何かを待つつも、いろいろなものを次々に失っていく。若さや、お金や、愛や、そうした大切なものが、時間というものによって留めがたく押し流されていく。まさに、時間という川の流れの中にいるようだ。何もかもすべて、時間の中に、流れてさってしまう。
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流れていくものの中で、流れようもなく輝いているものがある。これはいったい、何なのだろう。
川の流れの中に見えているのに、水に押し流されないのは、映しているその本体が、水の中にはないからだ。月は天にあり、水がいくら流れてもそれが流れ去らない。
p279
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