ソクラテス
すると、君が書いた僕は君なのかね。
池田某
そりゃ違いますよ。あなたは哲学、普遍的人格ですから。
ソクラテス
しかし、僕が哲学、普遍的人格なら、なにも僕を使って対話篇書くこともないんじゃないか。僕についての論文なり、普通の哲学論文書いてもいいんじゃないか。「ソクラテス=プラトンにおける帰納的推理とイデア認識の可能性について」とかなんとか。
池田某
くそ面白くもない。
ソクラテス
僕もそう思う。
池田某
思うでしょ?
ソクラテス
思うよ。
池田某
いつまでもそんなことやってるから、哲学はバカにされることになるんです。
ソクラテス
おそらくな。
池田某
なんで帰納的推理とイデア認識が、学校の中でだけ適用することなんですか。哲学の始まりは、日常のことでしょう。哲学と日常が別のものだなんて思ってるのは、哲学をわかってないか、日常をわかってない、つまり両方ともわかっていないということです。
ソクラテス
厳しいね。しかし、その通りだ。
ー 第3章 さよならソクラテス <ソクラテス、著者と語る> 登場人物 ソクラテス・池田某 -p467
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