一日一文 365日

一日一文 352. 池田晶子「無敵のソクラテス」より

ソクラテス
すると、君が書いた僕は君なのかね。

池田某
そりゃ違いますよ。あなたは哲学、普遍的人格ですから。

ソクラテス
しかし、僕が哲学、普遍的人格なら、なにも僕を使って対話篇書くこともないんじゃないか。僕についての論文なり、普通の哲学論文書いてもいいんじゃないか。「ソクラテス=プラトンにおける帰納的推理とイデア認識の可能性について」とかなんとか。

池田某
くそ面白くもない。

ソクラテス
僕もそう思う。

池田某
思うでしょ?

ソクラテス
思うよ。

池田某
いつまでもそんなことやってるから、哲学はバカにされることになるんです。

ソクラテス
おそらくな。

池田某
なんで帰納的推理とイデア認識が、学校の中でだけ適用することなんですか。哲学の始まりは、日常のことでしょう。哲学と日常が別のものだなんて思ってるのは、哲学をわかってないか、日常をわかってない、つまり両方ともわかっていないということです。

ソクラテス
厳しいね。しかし、その通りだ。

ー 第3章 さよならソクラテス <ソクラテス、著者と語る> 登場人物 ソクラテス・池田某 -p467


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Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。