だけど、その たびに、
おじいちゃんがたすけてくれました。
おじいちゃんは、ぼくの てを にぎり、
おまじないのように つぶやくのでした。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
それは、むりして みんなと なかよく しなくても
いいんだって ことでした。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
それは、わざと ぶつかってくるような
くるまも ひこうきも、めったに ないって ことでした。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
それは、たいていの びょうきや けがは、
いつか なおるもんだって ことでした。
それは、ことばが わからなくても、こころが
つうじる ことも あるって ことでした。
それは、この よのなか、そんなに
わるい ことばかりじゃ ないって ことでした。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
ぼくと おじいちゃんは なんど その ことばを
くりかえした ことでしょう。
~
ぼくは、ずいぶん おおきく なりました。
おじいちゃんは ずいぶん としを とりました。
だから こんどは ぼくの ばんです。
おじいちゃんの てを にぎり、
なんどでも なんどでも くりかえします。
「だいじょうぶ だいじょうぶ。」
だいじょうぶだよ、おじいちゃん。
_いとうひろし作・絵「だいじょうぶ だいじょうぶ」より_
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