一日一文 365日

一日一文 2.鈴木大拙「仏教の大意」より

人生の日日は矛盾で充ちているものです。
吾等は大抵それに気づかずに過ごすのでありますが、
一旦気づき出すと、その解決に悩むものです。
悩みながら、あちらこちらと彷徨いつつ、
何とかしてそれから離脱しようとします。
このはてしない努力が進められるにつれて、
今まで送ってきた生活なるもののいかに不真実で無意味であったかということが
次第にわかって来ます。
この段階にまで進んで来ると、吾等は、何かしら次元を異にしたところに
別の境界があるのではなかろうかという感じがするようになります。
そうしてこの境界は今吾等が現に住んでいる世界よりも真実性に富んでいて、
別途の価値を持つもののように感ずるのです。
そうしてまたこの世界は、今までこれより大事なものはないと
一生懸命に取っておいたものを、悉く抛棄することによってのみ、
発見せられるものだというふうになってくるのです。
即ちここで霊性的世界の髣髴が窺われるようになるのです。
_第一講「大智」一 p5~_

いずれにしても大悲心が覿面に認得せられない限り
法界の風光は望まれません。
「地に平和、天に栄光」と申します。
浄土の荘厳と同じくいずれも大悲心の発露に外なりません。
今後の世界を救うものは、この大悲心なのです。
そうして大悲はまた大智でなくてはなりません。
_第二講「大悲」八 p126~_

 

 


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。