一日一文 365日

一日一文 14.沢村貞子「わたしの台所」より

小さいころ、キチンと片づいた台所の片隅で、
しちりんの上のお鍋がいつもゴトゴトと音をたてていた。
静かな午後のひととき、香ばしいお醤油、甘酸っぱいお酢・・・・
ときには美味しそうな油の匂いが、せまい家の中にホンノリと漂い
菜箸を持った母が板の間にしゃがんでお鍋をのぞきこんでいた。
決まったおかず(主菜)のほかに、
いつでもちょいとお膳にのせられるようなもの
「常備菜」をこしらえていたのだった。

常備菜とはつまり、いつでもちょいと役に立つ、
おまけのお惣菜____
ただし、手ぬきをすると、材料が安いものだけに、
誰も見向きもしないという、
悲しい運命になってしまうから
ご用心ご用心。

_常備菜_p215~


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。