_ KENJI・・・宮沢賢治によせる 語りと左手ピアノのための _
詩:宮沢賢治/構成・曲:吉松隆
(舘野泉に捧げる/「舘野泉左手の文庫」助成作品)
「おまえの友だちがどこかへ行ったのだろう。
あの人はね、本当に今夜、遠くへ行ったのだ」
各章はそれぞれ別の世界を持つ独立した作品ですが、
そこに聞こえる賢治の思いの断片を繋げてゆくと、
最後に「銀河鉄道の夜」のジョバンニの独白に収斂してゆきます。
そこに聴き手の皆さんがひとりひとり自由な「物語」を聞き、
それぞれの「遠くへ行ったあの人」を思って頂ければ幸いです。
~
ちなみに、この作品の中の「賢治のことば」は、
私が最初に読んだ昭和30年代頃の・・・研究や改訂が施される以前の「初期稿」を主に採用していますので、現在の読者には馴染みのない文章も混じっていることをおことわりしておきます。(例えば、冒頭の「序」の「あまりに甘くて」は現在では「あまりに重くて」、
最後の「銀河鉄道の夜」での「夢のように」は「蕈(きのこ)のように」と修正され
「セロのような声」は削除されているものがほとんどです)。
そんな「どこか遠くへ行ってしまった」ことばへの切ない思いも
KENJIが残してくれた夢なのかも知れません。
2019.11.12_Program notes_より
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