まるで、街の流れに逆らわないでいさえすれば
安心が得られて、面倒にまきこまれることもなく、
生活も簡単になるかのようだった。
茶色に守られた安心、それも悪くない。
~
ひと晩じゅう眠れなかった。
茶色党のやつらが
最初のペット特別措置法を課してきやがったときから、
警戒すべきだったんだ。
けっきょく、俺の猫は俺のものだったんだ。
シャルリーの犬がシャルリーのものだったように。
いやだと言うべきだったんだ。
抵抗すべきだったんだ。
でも、どうやって?
政府の動きはすばやかったし、
俺には仕事があるし、
毎日やらなきゃならないこまごましたことも多い。
他の人たちだって、
ごたごたはごめんだから、
おとなしくしているんじゃないか?
だれかがドアをたたいている。
こんな朝早くなんて初めてだ。
・・・・・
陽はまだ昇っていない。
外は茶色。
そんなに強くたたくのはやめてくれ。
いま行くから。
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