ー 幻は月を刻む ー
まぼろしは 月をきざんでゐる。薔薇の形に。
散らうとする意志をふくむ 満開のばらの形に。
まぼろしは 言葉にならない音をきざんでゐる。魚のおよぐ形に。丘にのぼらうとする小魚のむらがる 心の形に。
まぼろしは 無心の口笛をふいてとどまり、
おびただしい稜角をもつて表現をおさへてゐる。
散文詩 p313
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ー 幻は月を刻む ー
まぼろしは 月をきざんでゐる。薔薇の形に。
散らうとする意志をふくむ 満開のばらの形に。
まぼろしは 言葉にならない音をきざんでゐる。魚のおよぐ形に。丘にのぼらうとする小魚のむらがる 心の形に。
まぼろしは 無心の口笛をふいてとどまり、
おびただしい稜角をもつて表現をおさへてゐる。
散文詩 p313