一日一文 365日

一日一文 205. 石垣りん「略歴 石垣りん詩集」より

ー 夕鶴 ー

それが
はじめの約束だった。

しあわせとか
愛とか
希望とかいったものを
与えるかわりに
けっして私を見てはならないと。

お前は見た。

お前の好奇
お前の欲
お前の乏しい智慧。

私はもう見られた姿のままで
お前の所にとどまることは出来ない。

さようなら

そういったのが
物語の鶴ならよかった。

地球が
人間から遠ざかってゆく。
ちいさく
ちいさく
なる。

p111~


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。