一日一文 365日

一日一文 235. 志樹逸馬「志樹逸馬 詩集」より

ー 土壌 -

わたしは耕やす
世界の足音が響く この土を
全身を一枚の落葉のように顫わせ 沈め
明日の土壌に芽生えるであろう生命の言葉に渇く
誰れもが求め 撒く種子から
緑のかおりと
収穫が
原因と結果を一つの線にむすぶもの
まさぐつて流す汗が 唯いとしい

原爆の死を 骸骨の冷たさを
血の滴を
幾憶の人間の
人種や 国境を ここに砕いて
かなしみを腐敗させてゆく

わたしは
おろ おろと しびれた手で 足もとの土を耕やす
泥にまみれる
いつか 暗さの中にも延ばしてくる根に
すべての母体である この土壌に
ただ 耳をかたむける


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。