一日一文 365日

一日一文 305. 塔 和子「塔和子 全詩集 第一巻」より

ー 在る ー

手を広げて見ても
せいぜい一メートル四、五十センチ
足を思い切りのばしても
一メートル六十センチには足りない
地球の上のほんのひとすみに
有るというにはあまりに小さすぎるようで
無限の中でじいっとしていると
次第に点る灯のように
あきらかになる存在


この不思議なもの
私はいつも在って
在るうとましさに疲れようとも
在らされるわずらわしさをうとんじようとも
存在そのものだから
消えることが出来ない
死というたのみのつなさえ
それを思うとき
いま私は
いっそうあきらかな生
ほのぬくい存在である
でも
存在することは
スポットライトの中の踊子で
ライトの中から踏み出したら
そこはもう
手がかりのない
広すぎる空間


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。