消えたのではなく現に眼の前にあるのかも知れぬ。それを掴むに適したこちらの心身の或る状態だけが消え去って、取戻す術を自分は知らないのかもしれない。こんな子供らしい疑問が、既に僕を途方もない迷路に押しやる。僕は押されるままに、別段反抗しない。そういう美学の萌芽とも呼ぶべき状態に、少しも疑わしい性質を見付け出す事が出来ないからである。だが、僕は決して美学には行き着かない。
ー無常という事ーp84~
ABOUT ME
消えたのではなく現に眼の前にあるのかも知れぬ。それを掴むに適したこちらの心身の或る状態だけが消え去って、取戻す術を自分は知らないのかもしれない。こんな子供らしい疑問が、既に僕を途方もない迷路に押しやる。僕は押されるままに、別段反抗しない。そういう美学の萌芽とも呼ぶべき状態に、少しも疑わしい性質を見付け出す事が出来ないからである。だが、僕は決して美学には行き着かない。
ー無常という事ーp84~