おはなしの部屋
~朗読のひととき~
Shino
「あさのように~every day~」
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お留守番のとき、よく目を閉じてた。
そうするとね、
変わらない約束であることが感じられたから。
朝は、必ず帰ってくるの。
暑い季節にも、寒い季節にも。
それぞれの時間は違っても、
いつも必ず帰ってくるの。
だから、安心して待っていられる。
そう。
ナミは朝みたいなの。
その日の大切な用事済ませて…
色んな季節みたいに
その季節の朝みたいに
いつも必ず帰ってきてくれた。
ただいま〜って やさしい声で。
だから、安心して待っていられた。
ほんとはね、
お留守番が少しさみしくなることもあった。
窓の外が少し暗かったり
聞きなれない音が聞こえたり
好きなはずの静かな時間さえ
少しさみしくなることもあった。
でも、そんなときは
きまって目を閉じてみた。
朝がくるのを待つときのように。
目を閉じると感じられたの。
朝と同じように
きっと必ず帰ってきてくれることを。
だからね。
いま、ナミも感じてくれてると思う。
目に見えなくても大丈夫。
いつもそばにいるから。
そばにいるからね。
every day♡
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・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・*・・・・・
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時に、予期せぬ訪れがある。
その日。
外は明るくもないのに、何故か一瞬明らみ、
ほんの少し、レースのカーテンがそよいだような気がした。
優しい気配に呼ばれてその視線を追うと、
まるで窓の外を共に眺めているようだった。
夜明けを待つような気持ち。
その中に佇み、気づくと、大切な友人の愛犬・デイちゃんが浮かんだ。
デイちゃんが空に旅立ってから2週間ほどが過ぎていたと思う。
私は記憶の中のデイちゃんを、尚一層強く思い描いてみた。
すると、自ずと浮かぶ情景と、零れてくる言葉に出会う。
思わずペンを取って、書き留めることにした。
「あさのように~every~」は、そんなふうに生まれた。
書き上げたものは私にとって創作ではなく、体験そのものだった。
長く友人夫婦に寄り添い過ごしたデイちゃん。
そのいのちの灯火がしずかに絶えたのはクリスマスの翌日だった。
寂しい年越しを経て間もなく迎えた友の誕生日。
そんなときに訪れたこの出来事には本当に驚くばかりだった。
でも、デイちゃんから受け取ったものを贈ることが叶い、
彼女もとても喜んでくれたこと、心から嬉しく思っている。
友と共にいのちの確かさを感じる大変貴重な体験だった。
また、この度その言葉たちを優しいお声にのせ、
美しいフルートの旋律を添えていただきましたこと。
Yukariさんに、心からの感謝を申し上げます。
ほんとうに、ほんとうにありがとうございました。
Shino
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朗読 Yukariさん