真夏の昼
生きている本当だろうか
生かされている本当だろうか
立っている本当だろうか
立たされている本当だろうか
作って食べる本当だろうか
与えられて食べる本当だろうか
土があった水があった
空があった
光があった熱があった
あったというのははたして本当だろうか
光と闇を分けられ
天と海とを分けられ
海と陸とを分けられ
すべての植物をはえさせ
すべての生き物を満ちさせ神が創造した
創造したというのは本当だろうか
在るのか
在らされているのか
小さな私
手のひらに太陽が溜まり
髪にまつわる風
ああ真夏の昼
嘘のような真の間の
真のような嘘の間の裂け目
樹々が繁り
海が光り
遠い対岸の街が見える
_生きている_p12~
孤独なる
今日は出会わなかったか
そんなことはない
書物の中の人と出会い
物語の中の人と出会った
今日はなにもなかったか
そんなことはない
顔を洗ってお化粧をした
それから鏡の中ですこし微笑み
何ももたない自分を
あわれんでやった
閉じこもった今日さえも
やっぱりなにかと出会い
なにかを考える
ぼんやりしているときにも
ぼんやりとなにかを思っているように
生きることはやっかいなことだ
少しの休息もなく
心が体をひきずっている
でも
そこは
出会うよろこびによってささえられている
小さな私の城だ
_かかわらなければ_p88~
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