「海と陸の精霊」が交歓する世界
水俣には「もだえ神」という言葉があるという。
人の悲しみ、痛みを自分の悲しみとして引き受け、そして絶望せず、
希望を手放さない存在。それは、自らの生が人々の生と分かちがたく密接に結びついていることを、理屈ではなく実感として感じ取れるからこそ、可能なのかと思う。
水俣湾埋め立て地には、患者らのいのちを見つめるかのように、
幾つもの石仏が不知火海に向かって立つ風景がある。
そこに私は、生を無残に奪われた患者たちの無念の思いといのちの尊さに、
思いをはせたいと思う。
ー悲しみを引き受け希望を胸に 石牟礼道子ー p43~
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