ー平常心是道ー
「ふだんの心が道である」の意。
平常心、というのは、日常語となっている。落ち着いて、慌てたり騒いだりしない心、という意味だ。「いつも平常心でいなさい」とは、よく言われるけれども、何となくこのことは、酷薄な態度のようにも思える。痛痒や焦りを一切感じない、石のような心の持ちようが「平常心」なのだろうか。
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振り子はしばらく、左右に揺れるが、だんだん振り幅が小さくなっていき、いつか、もとの場所に戻って動かなくなる。「平常心」というのは、このように「揺れても、戻ってゆく位置が一定していること」を言うのではないだろうか。
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生き生きと変容し、躍動するものの中に貫かれている。そうした安定的なリズムが「平常心」の仕組みなのではないだろうか。
平常心、という言葉は「恋」と比較したときの「愛」と似ている。恋は激しくなみだち、変化し、熱を持ったり冷めたりするけれど、愛はそうではない。「平常心」は、いつも変わらない心、ではなく、自由に変化し反応できる心、のことを言うんだろうと思う。
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