一日一文 365日

一日一文 200. 中原中也「中原中也 全詩集」より

ー 雪の賦 ー

雪が降るとこのわたくしには、人生が、
かなしくもうつくしいものにーーー
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

その雪は、中世の、暗いお城の堀にも降り、
大高源吾の頃にも降つた・・・・

幾多々々の孤児の手は、
そのためにかじかんで
都会の夕べはそのために十分悲しくあつたのだ。

ロシアの田舎の別荘の、
矢来の彼方に見る雪は、
うんざりする程永遠で、

雪の降る日は高貴の夫人も、
ちつとは愚痴でもあらうと思はれ・・・・

雪が降るとこのわたくしには、人生が
かなしくもうつくしいものにーーー
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

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Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。