一日一文 365日

一日一文 279. 銀色夏生「詩集 すみわたる夜空のような」より

「階段が見えていた」


2階のベランダから
空色のホースで水を撒いて
落ちていく
無数の水玉を見た

階段が見えていた
あの時も
あの日も
どこかへ続く階段が

気になったけど
上らなかった
簡単に
行こうと思えば何も
邪魔するものはなかったのに

それはまた
あらわれるだろうか
その時は
上るだろうか

それとも
それは
いつもいつも

ただ気になるものとして
この視界の片隅に
存在しているのだろうか

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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。