一日一文 365日

一日一文 50. 三角みづ紀「よいひかり」より

コーヒーカップ

まだ目覚めない町をながめて
青色の薬缶をコンロに置いた
だれかに命じられたことでは
けっしてないのだけれど
あたたかいコーヒーを飲んで
ようやく わたしの朝

時折、舌をやけどして
慌てて水をふくませる
すべてうまくいくはずはないから
そんなはじまりかたもあるだろう。

うすぐらい町の街灯が
ようやく眠りについて
すこしづつあかるんで
鳥たちが朝をつたえて
やけどした舌を確かめながら
このささいな痛みを知ること
冷めていくカップを手で包み

はじまりがはじまることを
やさしい沈黙のなかで
飲みこんでいく

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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。