旧い友
あたらしい友達で
日常をいっぱいにしてはならない
苦しいときも
じっと
かたわらにいてくれた
旧友の席がなくなってしまう
あたらしい言葉で
こころを一杯にしてはならない
困難のときも
ずっと
寄り添ってきた
旧い言葉の居場所がなくなってしまう
言葉は
思いを伝える道具ではなく
共に生きる
命あるもの
だから人間は
試練にあるとき
もっとも大切な何かを求めるように
たった一つの言葉を探す
たしかな光明をもとめ
わが身を賭して
伴侶となるべき一語を
希求する
p36~
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