一日一文 365日

一日一文 105. 若松英輔「詩集 燃える水滴」より

逝く人は、残された者の手にかなしみの種子を残していく。残された人は、亡き人をおもうたびに涙を流し、その種に水を注ぎ、花を咲かせようとする。それが彼方の国への合図になると信じているからだ。だが、種子は、水だけでは育たない。大地の栄養と光がなくてはならない。
悲しみの種子にとって大地は心、水は涙で、光の扉を開けるのが言葉のはたらきだ。
むかしの人が、天と呼んだ場所にむかって言葉を送る。すると暗い雲に覆われてた場所からすこしずつ光が射しこんでくる。

やっと
新しい詩集が
できあがりました
小さな一冊です

いつものように
お送り申し上げたいのですが
もうあの場所にはいない

どこへ
お届けしたら
よいのでしょうか

常世のくにで
暮らすあなたの
ご都合のよい送り先を
教えていただけませんでしょうか

ー あとがき ーp116~


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。