真理は、君がそれについて考えている謎としての真理は、いいかい、他でもない、君自身なんだ。君が、真理なんだ。はっきりと思い出すために、しっかりと感じ、そして、考えるんだ。
「はっきりと思いだすために、しっかりと感じ、そして、考えるんだ」との一節からも明らかな通り、池田にとって「考える」とは、単に頭脳を働かすことではなく、存在を全身で感じ、「真理」と彼女が呼ぶ実在と交わることだった。そして彼女は、真理とは、私たちが存在していることそれ自体に潜んでいると言う。
君を救うのは君だ、君は、君が真理を携え、現われるのを待つ人のために、自分自身を絶望の底から救い上げなくてはならないーー池田晶子の本を開くと、どこからも、そんな彼女の声が聞こえてくる。考える、それは池田晶子にとって、ときに祈ることと同義である。ただ、ここでの「祈り」とは、私たちが自らの願いを超越者に願うことではない。むしろ、私たちが無私のうちに、超越からの沈黙の声を聞くことである。
ー 第七章 思い出すということ ーp125~
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