「先生、明日、これわかる人って問題だすの、やめてほしい。俺、絶対手を挙げられないから、母親が恥をかく」
それに対して、先生は、ちょっと考え込んで、こんな策を提案した。
「じゃあ、わからなくてもわかっても手を挙げろ、ただし本当にわかる人はパーを、わからない人はグーをだせ」
かくして、父兄や見廻りの校長、教頭が目を見張るほどの活気あるクラスが当日できあがった。
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先生の機知に富んだ企みの下、私たちは何か愉快だった。答えがわかる者もわからぬ者も平等に愉快だった。あの一体感は幸せに溢れるものだった。
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「自分」という意識の肥大化が生まれ、地域全体、日本全体という意識が希薄になっているのではないだろうか。つまり「みんなでひとつの社会を作り上げていく一体感」が乏しくなってきていると感じてしまうのである。
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私は、まず身近なところから、この思わずほくそ笑んでしまう楽しい「たくらみの共有」を試してみようと思う。
失われた一体感を取り戻す術として。
ー 「たくらみ」の共有 -p12~
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