一日一文 365日

一日一文 165. 佐藤雅彦「考えの整頓」より

「先生、明日、これわかる人って問題だすの、やめてほしい。俺、絶対手を挙げられないから、母親が恥をかく」
それに対して、先生は、ちょっと考え込んで、こんな策を提案した。

「じゃあ、わからなくてもわかっても手を挙げろ、ただし本当にわかる人はパーを、わからない人はグーをだせ」

かくして、父兄や見廻りの校長、教頭が目を見張るほどの活気あるクラスが当日できあがった。

先生の機知に富んだ企みの下、私たちは何か愉快だった。答えがわかる者もわからぬ者も平等に愉快だった。あの一体感は幸せに溢れるものだった。

「自分」という意識の肥大化が生まれ、地域全体、日本全体という意識が希薄になっているのではないだろうか。つまり「みんなでひとつの社会を作り上げていく一体感」が乏しくなってきていると感じてしまうのである。

私は、まず身近なところから、この思わずほくそ笑んでしまう楽しい「たくらみの共有」を試してみようと思う。
失われた一体感を取り戻す術として。

ー 「たくらみ」の共有 -p12~


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Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。