月が出たので、狐の毛なみが銀色に光り、その足あとには、コバルトの影がたまりました。
「母ちゃん、人間ってちっとも恐かないや」
「どうして?」
「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、捕まえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖かい手袋くれたもの」
と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。お母さん狐は、
「まあ!」とあきれましたが
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。
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月が出たので、狐の毛なみが銀色に光り、その足あとには、コバルトの影がたまりました。
「母ちゃん、人間ってちっとも恐かないや」
「どうして?」
「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、捕まえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖かい手袋くれたもの」
と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。お母さん狐は、
「まあ!」とあきれましたが
「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。