一日一文 365日

書き写すことから 一日一文 365日を終えて・・・

一日一文366日 内村鑑三「一日一生12月28日」より

明日のことを憂慮うな、明日は明日のことを憂慮え、一日の苦労は一日で足りる、お前の力はお前の生きた日の数に従うだろう、お前が死ぬ時に死に勝つ力はお前に加えられるだろうと。だから知る、死につく準備は、忠実に今日の職に従事することであることを。

「一日一文」一年間お付き合いいただきまして誠にありがとうございました。
そもそも書き写すことを始めたのも若松英輔氏の講座がきっかけでした。
NHK文化センターで開催された「イエス伝を読む」の講座に出かけたとき、
講座の中で、「今日からひと月、聖書の一文を書き写してみてください。ひとつき後にはあなただけの聖書があります」と。
その直後…若松氏はこうおっしゃった。
「こうやって話しても、まぁ誰もやらないんですよね(笑)」

ハイ・・・この一言でわたしのスイッチが入りました(笑)

帰宅するなり、友人から頂いた聖書を開いてみた。
しかし、読んだことのない聖書。何処を書き写せばよいのやら・・・・
う~む困った・・・と思って、本棚を眺めていると。
目が合ったのが内村鑑三「一日一生」

これまた遡ること
2016年偶然見たTV
NHKeテレ100分de名著内村鑑三「代表的日本人」
指南役の方が西郷隆盛の初回「Still small voice」と話されたその時!!
(この方は信頼できる)とピンときた!!!
そう、何を隠そう、この時の指南役が若松英輔氏でありました。

それから若松氏の著書を手に取ってゆくわけですが
まったく歯が立たない・・・知らない言葉が並んでいて、知らない著者が並んでいて、
(いったいこれまで私は何をやってきたのだろうか)と打ちのめされるほど(笑)
そうなのです、私は読書が好きだったわけでも、文章を書くことが好きだったわけでもなく、どちらかというと無縁な生活だったので。
それでも何に惹かれているのかもわからないまま、とにかく若松氏の本を片手に生の声を聴きに出かけて行った日々。
.


.

若松氏は強く「書き写すこと」「声に出して読む」ことの大切さを必ず話された。
書きなさい、書きなさい、書きなさい、呪文のように頭の中をぐるぐるし始めているとき・・・

話は戻りますが、内村鑑三「一日一生」と目が合うわけです。

そのときのイエス伝の講座での約束は「タイトルをつける」でした。
一日一文の聖書の言葉に「タイトルをつける」・・・これがなかなか難しくて
はじめのうちはその一文の中の言葉がタイトルとして浮かんでしまう。
でも最後の方にさしかかってきたとき、なんとなくことばが浮かぶようになって自然とタイトルをつけていました。
毎日、365日書き写し「一日一生」を終えるわけですが、日常の流れの中に書き写すことが当たり前となり
その後も、音読をして気になった一文、本を開いて偶然出会ったことば、特に、岩崎航さんの詩を書き写す日々が続いたように思います。

そうこうして2年過ぎたころの昨年の今頃ですね・・・
次なる課題が出た・・・というわけです(笑)

「一日一文・書き写す著者ひとり3回まで」というルールはまったく守れなかったですが・・・

朝、本のある部屋でじっと座って本棚を眺める・・・
目が合った本を手に取り、ぱっと開く。
この繰り返し。

まったく目を合わせてくれないときは無理やりこちらから目を合わせて手に取ってみたけれど、
一文とは出会えない。
そういう時はたいてい忙殺されこころ乱れているとき・・・・
とてもよいシグナルでした。

本棚の本は、つい数年前までとガラッと変わりました。
やはりこれも、若松氏が、講座の中で引用される本をどうしても読んでみたくなるので手元に置いてしまう。
気づけば、これまでの本棚からあふれ出てしまい、私の人生の中で読み終えることができないかもしれない・・・

そう呟いてしまったら子供たちが
「大丈夫、僕らが受け継ぐから(笑)」と。

息子は鈴木大拙、西田幾多郎、ゲド戦記、
娘はシモーヌ・ヴェイユ、柳宗悦、茨木のり子、 と手に取りはじめた。

もうこのまましずかにこの本棚の本たちは受け継がれてゆくこととなる。

.

書き写すこと丸3年 今日から4年目へ
まだまだ目を合わせてくれない本がたくさんある。
目を合わせてもらえるよう日常を深く味わいながら暮らしてゆきたいと思う。

ここでひとつ詩を書ければよいのだろうけれど(笑)

ホームページにアップするなどということは
これにてひとまず終了。

暮らしの中ではこれからも”ことば”に支えてもらいながら
一日一文書き写し続けてゆきます。

長くなりました・・・
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

.

「書く」という営みが、とても個的な営みであるように、「読む」ということも個の世界での出来事です。「読む」、「書く」という営みは人にひとりであることを求めてきます。
人は、ひとりでいるとき、切実な言葉に接することを求めることになる、と内村はいうのです。
 
  -若松英輔 永遠の今を生きる者たち 内村鑑三 代表的日本人ーよりp151


ABOUT ME
Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。