一日一文
陸もなければ、海もなく、涼しい波が砂浜をあらっていることもなく、草一本どこにも生えていなかったのです。太陽も、月も、星たちも自分たちのいる場所を、まだ知りませんでした。ただあるのは、巨大ながらんどう、遠く広がった深淵だけだったのです。
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ある日、三人の神が海辺を歩いていると、波にただよってきた二本の木がみつかったので、それで人間の形をきざみました。
「わしはこれたちに生命と魂を与えよう。」と、オーディンが言いました。
「ぼくは知識と理解力をやろう。」と、ヴィリが言いました。
「そんならぼくは、人間としての形と、見たり聞いたり喋ったりする力をさずけよう。」と、ヴェーは言いました。
神々は、男のほうをアスクと名づけ、女のほうは、エンプラとしました。この二人から、すべての人類は出て来たのです。
北欧神話「神々のとどろき」
2.世界と人間のはじまり
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