つまり私は『万葉集』を、
現代の詩を読むのと同じ態度で読もうと思うのである。
もちろん、それは言うに易く行うに難いことであろう。
古代のうたが現在読んでも面白く思われるということの中には、
詩句そのものが直接その魅力で私をうつ場合もあれば、
歴史的その他の観点が加わるためにきわめて興味深いものになる場合もある。
それは当然のことだが、その上でなお、
私は『万葉集』を現代の詩を読むのと同じ態度で読もうと思う。
言いかえれば、
出会いがしらに相手の美しさや力強さにうたれるという、
読者としての楽しみを何にもまして大事にしながら
『万葉集』を読んでみようと思うのである。
_2.時代の背景と『万葉集』_p27
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