木々に草花に、土中の生き物にさえも感謝したくなる。心をこめてオカリナを吹いた。曲を吹くと失敗するので面白くない。気分と指に任せて遊んだ。小鳥たちも合唱してくれる。山から反響音に包まれて、ぼくはますます少年へと蘇る気分だった。
ここは人生の旅の半ばをとっくに過ぎたぼくが純粋なひとときを取り戻す場所になった。写真ももちろん楽しいが、人は本来、喜びの表現をいろいろに持っている。歌い踊り奏で、涙もする。そんな時間や場所がひとつでもあれば、少し離れて見られる日常も十分にドラマになってしまうかも知れない。とても恥ずかしくて出来ないが、踊る姿を人に見せる必要はない。日常こそが本番の舞台だと、原っぱのあの大空が教えてくれた。
ー 秘密の原っぱ ーp133~
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