ー いのち咲くとき -
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人知れず静かに
咲いていたいと思ってた
咲いているのを知られたら
心の静けさが失われると思ってた
聞こえてくるため息は 失望で
向けられる視線も また失望で
怯えて震えて 消えたくなりそうな心が
想像の中で いつも泣いてた
ある夕暮れ
夜の帳が降りる頃
ふと安らいで なぜか微笑んで咲いてみた
安堵の色に包まれたそのとき
そばに感じた気配 同じ色の視線
聞こえてきたため息は 優しく
見つめてくれてる瞳も 信頼だった
咲いていることを照らされ
咲いてみたことを喜び
その出会いはさながら
自らとの出会いそのもの
そして 初めて気づいたの
近くに聞こえてくる 息づかい
すぐそばに 咲こうとしている蕾の
咲くのをためらい 震えてる吐息
その姿を傍らで
安心で見つめている この心
安堵の色で 一緒に咲いてみようよ
きっと行灯になれるよ… 誰かのための 自らのための
いのちは灯火であること
咲くという灯火であること
咲いて出会ういのちであること
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(photo kazesan)
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