一日一文 365日

一日一文 259. 石牟礼道子「魂の秘境から」より

不知火海の海の上が
むらさき色の夕焼け空になったのは
一色足りない虹の橋がかかったせいではなかろうか
この海をどうにか渡らねばならないが
漕ぎ渡る舟は持たないし
なんとしよう

媛よ
そういうときのためお前には
神猫の仔をつけておいたのではなかったか

その猫の仔はねずみの仔らと
天空をあそびほうけるばかり
いまは媛の袖の中で
むらさき色の魚の仔と戯れる
夢を見ている真っ最中

ー 明け方の夢 ーより 『虹』p234~


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。