一日一文
どこまでもいつまでも大きなものに守られて生きていく、たとえたまにそれを忘れて傲慢な気持ちになることがあっても、ひとりで生きているような気持ちで暴走しても、それさえも包んでいる何かがある。本人は孤独を感じたり悲しみや試練に大騒ぎしてじたばたといろいろな感情を味わっているが、大きな大きな目で見れば、実はいつでも守られている。p18
熊笹の苦くて少し甘くて澄んだ墨のような香りは、私にとっておばあちゃんの香りだ。私は、おばあちゃんといて、ずっととても幸せだった。その幸せはぽわんと甘いものではなくて、一分一秒を生きている、そして全てがどんどん意外な展開で流れていく、だから面白くてしかたない、そういう幸せだっあ。なにもかもがちょっと目を離すといちばんすてきなところをもう終えてしまっているので、いつでも舞台こ前にいる人みたいにどきどきしていなくてはいけない、そういう楽しさだった。p24
「神様が、何かをしたくてもあっちには言葉がないから伝えられないでしょう?だから私みたいな人が代理で働いているだけで、私が何かをしているわけではないんだよ。そしてすべての仕事は本来そういうものなんだよ。」
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おばあちゃんは、神様からもらったものをそれに見合わないほどのお金に変えようとする人達を心底軽蔑していた。その金は天国にまで持っていけるのか?とよく言っていた。p27
よしもとばなな「王国」より
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