一日一文 365日

一日一文 82. 永瀬清子「永瀬清子詩集」より

ー 朝になると ー

朝になると
いってくるわと云って
樹々のしげみの中にかくれてゆく菜穂子は
髪の毛もまだ短くて二本の固い三つ組にあみ
小鳥のように見えなくなる
汽車にのって学校へいくために
早くかるくふんでいく足は
れんげやきんぼうげの花の上を
出来たての風のようにたのしげにいくだろう
つめたい朝の空気に
とおいとおい見えない空のふかさが
その上に燃えているだろう

矢のゆくえを見守る人のように私は
もう何も見えないものを聴き知ろうとして
いつまでもうすあおい枝々のかげに
前掛で手をふきながら
たたずみみつめているのだ

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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。