『言葉』それ自体に個性はない。『言葉』は僕が生まれる遥か昔からあって、時代の変遷の中で形を変えて来た。この本に書かれたすべての『言葉』が辞書に載っている。意味が割り当てられている。当たり前の話。ハナからそんな信用してない。でも、どういうことなんだろう。この言葉という道具で描かれる僕の姿はどこまでも自分だった。
恥ずかしいくらい、悲しいくらい。
~
僕が書いているはずなのに、僕を語る。怒る、論す、励まし、笑う。僕はきっといつも言葉に見られている。手を取り、仲良くできたり、何を書いてもてんで違うものになったり。そうやってくっついて離れてを、これからも繰り返すんだろう。恋愛や友情を越えたたった一人の存在みたいに。
p443
ABOUT ME