ラ・ロシェルの、入江に沿った古い砦を臨むカフェで書いています。
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日本人は本質的に時間的世界観に生きる民族であるように思います。
この揺るぎない石の家が列ぶ路地を歩きながら、自然との係わりようの相違というものが、西洋と日本との違いを決定づけているように思いました。日本人にとっては、自然も人間も時間の世界に生死する存在です。それ故に自然は季節的性格において捉えられる。西洋(近代)の時間観念が直線的であるのに対して、つまり西洋にあって持続は恒に同じ状態を保存していく意味だが、日本では円環的なもの、繰返すものとして認識されている。
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日本の絵巻にみられるような人生的な時間展開とはその本質を異にするのものです。
外から移入されたもの(それが殆どでしょう)が独特な日本化に傾くその根底には、当然ながら日本人の自然との特殊な係わりようによって育まれた感受性が強く働いていたのだと思います。
現在では、季節の変化も目に立っては感じられないものになりましたが、それでも、いつも外国から日本に帰って強く感じることは、季節感と、柔和な風景です。
6 音楽の「時」p117~
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