文箱 ”言の葉の落とし文”

落とし文「シェヘラザード」”Makiko”さま

8月28日~おとなおはなし会夜の部~

Norikoさんのリクエスト曲「王子と王女」
その音楽からの落とし文・・・

「子どもに語るアラビアンナイト」より
ー シェヘラザード -

今から千年以上もむかしのお話です。

 ペルシアの国に、シャフリヤールという名前の王さまがおりました。シャフリヤール王は、ペルシアからインド、さらには中国にまでおよぶ広大な土地を支配しておりました。戦いではだれにもひけをとらず、慈愛と知恵によって国をおさめる、名君のほまれも高い大王でありました。

 ところがある日のこと、シャフリヤール王は、心から愛していたお妃に裏切られたことを知りました。王の心は嵐のようにみだれ、それからはだれも愛さず、だれも信じない王になってしまったのです。そして毎日、新しいお妃を迎えては、つぎの日の朝、その首をはねてしまうのでした。

 こうして王国からは、若い娘のすがたが消え、家という家からは嘆きの声が聞こえるようになり、国じゅうが悲しみにつつまれてしまいました。

 さて、シャフリヤール王に仕える大臣には、満月のように美しいシェヘラザードという名の娘がおりました。
シェヘラザードは美しいだけではありません。だれよりも多くの本を読み、だれよりも多くの物語を知っていたのです。
そして、だれよりも勇気がありました。シェヘラザードは、自分から進んでシャフリヤール王の花嫁になったのです。

 シャフリヤール王とシェヘラザードは結婚式をすませ、寝室に入って休みました。夜がふけてあたりが闇にとけ、降るような星空が天をおおったころ、シェヘラザードは物語を語りはじめました。

シェヘラザードの語る物語は、ふしぎに満ちみちており、シャフリヤール王は、時がたつのもわすれて聞きいりました。
やがて、東の空にバラ色の光がさしてきますと、シェヘラザードは物語をやめました。シャフリヤール王は、つづきが気になってしかたありません。

シェヘラザードは、王さまにいいました。
「王さまが明日もわたくしを生かしておいてくださるのなら、この物語のつづきをお聞かせしましょう」
 つぎの日、王さまはシェヘラザードを生かしておきました。
そして、そのつぎの日も。またつぎの日も。

長い長いお話、「アラビアンナイト」はこうしてはじまったのです。


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Gaju。 管理人
Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。