一日一文 365日

一日一文 353. 井筒俊彦「読むと書く」より

「気づく」とは、存在にたいする新しい意味づけの生起である。
一瞬の光に照らされて、今まで意識されていなかった存在の一側面が開顕し、それに対応する主体の側に詩が生れる。
「気づき」の対象的契機がいかに微細、些細なものであっても、心に沁み入る深い詩的感動につながることがあるのだ。
蕉風の俳句にはそれが目立つ。人口に膾炙した「山路来て」「薺花さく」「道の辺の木槿」をはじめ、その例は無数。
このような、ふとした「気づき」の累積を通じて、存在の深層を探ってゆくのである。

ー 「気づく」詩と哲学の起点 -p434


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