たしかに戦争による悲惨と自分の小さな病苦とでは釣り合いようもない。
けれどまったく違う時代や状況下であっても、
「人間としての苦悶の叫び」という一点で見つめるならば、
どんな苦しみを抱える者であっても、境界を越えて
たがいに通じ合えるものがあるはずだ。
一見、絵には絶望しかない。けれどその絵を見て、
僕は自分の思いを分かってくれる人に出会ったときのような、
救われた気持ちになったのです。
~
僕は暗闇が灯す、人を生へとうながす命の炎というものが
あるのではないかと思っています。
香月泰男さんの絵に込められた光が、
僕に闇を手探りで生きる力を与えてくれたのではないでしょうか。
どんな
微細な光をも
捉える
眼を養うための
くらやみ
_第3章 本とともに 香月泰男の『シベリア・シリーズ』p139~_
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