一日一文 365日

一日一文 148. 池田晶子「人間自身 考えることに終わりなく」より

おそらく人は、他人に答えを期待する、他人に答えを求めようということに慣れすぎている。いやきっと、そういうものなのだと思っている。「自分で考える」ということをしたことがないから、考えることすら他人にしてもらうものだと思っているのだ。しかし、生きているのはその人であって、私はあなたではないのである。あなたがどうすればいいのか、私が考えるわけにはゆかないのである。

世の中これだけ情報が溢れていても、本当に必要なことを、誰も知らない。ケータイ情報の扱い方を知ってはいても、本当に必要なこと、人生の一大事、自分や家族の生きるか死ぬか、そんな時どうすればいいのかは、誰も知らないのだ。そしてうろたえ、互いに問いかけあっている。「私は、我々は、どうすればいいのでしょうか」。

むろん私だって、私は、我々は、どうすればいいのかを知らない。知っているわけがない。人生とは、それ自体が、知らないものを生きることだからである。それが何なのか、それがどうなるのか、自分が知らないものを生きるのが人生である。しかし、知らないのでなければ、どうして人は考えるだろうか。知らないからこそ、考えるのだ。

ー どうすればいいのか - p65~


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Gaju。管理人suzukiです。 管理運営担当しております。 愛猫たち(東風Cochiと南風Kaji)のときの過ごし方から 日々学ぶ今日この頃です・・・。